日本財団 図書館


 

020-1.gif

Photo-1 Test Set -up at Tensile Test

020-2.gif

Fig-16 Outline of Fatigue Test

020-3.gif

Fig-17 Fatigue Test of Joint Point

示す。図中の従来型とは、側壁と隔壁を一体化して製作したタイプである。試験は現在継続中であるが、T−U継手の疲労強度低下率は、接合部のない従来型に比べて最大で25%程度低下している。またT-U継手の疲労破壊箇所は、全てT形鋼と鉄筋の境界部(溶接部端部)で鉄筋が破断していた。
4. 結論
港湾用ケーソンの省力化技術で鉄筋のユニット化、プレキャスト化を対象に各種力学試験などを実施した結果、以下の主要な結論を得た。鉄筋のユニット化により省力が図れるが鉄筋の溶接部で疲労強度、曲げ性能が低下する。しかしスポット溶接で波浪による疲労損傷度は小さい事が判明した。
プレキャスト化では接合部の構造とコンクリートの充填方法が課題である。今回提案した接合構造は従来の構造基準にかならずしも準拠していないが載荷試験の結果から十分採用可能であることが判明した。また適切なコンクリート材料を選定することにより接合部での充填性は問題なくまたひび割れの発生も小さかった。
また短期間ではあるが耐久性の試験を行ったところ溶接鉄筋の錆の発生は少なくまた接合部でのひび割れの進行も許容できる範囲であった。
ここ数年、港湾工事での現場では合理化や省力化が進んでいる。今回紹介した省力化工法は、ケーソン製作に関わる極一部であるが、さらに省力化、作業の安全性向上および建設工費の削減を行うためには、従来工法の見直しや新工法の技術開発を推進する必要がある。
参考文献
1)清宮理:港湾工事における省力化技術、土木施工38巻8号、pp.75−79.1996.8
2)土木学会:鉄筋継手指針、コンクリート・ライブラリー第49号、昭和57年2月
3)清宮理、藤澤孝夫ほか:ウエルドメッシュ筋(溶接鉄筋網)の基本的な力学性状、コンクリート工学年次論文報告集Vol.17,No.2,pp.17−22.1995
4)藤澤孝夫、清宮理ほか:アーク溶接鉄筋網の力掌特性、土木学会第50回年次学術講演集、1995.9
5)土木学会:コンクリート標準示方書(設計編)、pp35−36、平成8年制定版
6)堀之内向志、清宮理ほか:溶接鉄筋を用いた港湾用ケーソンの波浪に対する疲労の検討、土木学会第51回年次掌術講演集、1996.9(投稿中)
7)藤澤孝夫、清宮理ほか:パネル式ケーソン接合部へのコンクリ一ト充填試験とひび割れ調査、コンクリート工学年次論文報告集Vol.18,No.1,pp.651−656.1996
8)清宮理、藤澤孝夫ほか:合成版パネルを用いた港湾用ケーソンの接合部載荷試験、構造工学論文集Vol.40A,pp.1389−1399.1994−3

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION